平成29年3月4日(土)、つるぎ町農業構造改善センターにて、シンポジウム「傾斜地の土壌を活かす~伝統的な技術と可能性~」が開催され、地域住民ら約100名が参加しました。

長年、剣山系の傾斜地農業の研究に携わっておられる「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構」より、フェロー・山本博氏と、上級研究員・中元陽一氏及びつるぎ町地域おこし協力隊で傾斜地農業の研究を行っている泉直亮氏のご講演の他、皆さんを交えたパネルトークが行われました。

山本氏からは、にし阿波の地質の成り立ちや、土壌の性質などについてのお話がありました。

中元氏からは、以前、東みよし町で開発に携わった「自動土揚げ機」などの傾斜地での農作業を軽労化する機械の紹介が行われました。

泉氏からは、『にし阿波の傾斜地農耕システム』の「土壌と適応技術」についての説明が、世界的な観点を交えて話されました。

続いてのパネルトークでは、「傾斜地の土壌におけるカヤの有効性は」「自動土揚げ機などは、実際農村集落に導入可能か」など、5名の登壇者に参加者から多数質問が寄せられ、闊達な議論が為されました。

『にし阿波の傾斜地農耕システム』の成り立ちや、技術における未来の可能性を見出し、益々当システムの継承・発展に関して機運が高まるシンポジウムとなりました。

 

  • タイトル:「傾斜地の土壌を活かす~伝統的な技術と可能性~」
  • 日時:2017年3月4日(土) 13:30〜(受付:13:00~)
  • 会場:つるぎ町農業改善センター 3階大会議室
  • 参加費:無料
  • 概要:世界農業遺産とは、人類の遺産として保存すべき重要な農業システムを国連食糧農業機関(FAO)が認定する取り組みです。にし阿波の山間部で暮らす人びとは、急傾斜地という厳しい環境で農業を営むために、様々な知恵や技術を培ってきました。また、こうした在来の知恵や技術に支えられた土地利用によって、美しい農村景観や生物多様性を育んできました。世界農業遺産認定をめざすにあたり、このシンポジウムでは、傾斜地農業が成立した地質的・環境的な要因と土壌の特性を生かす適応技術に焦点を当てて討論します。そして、『にし阿波の傾斜地農耕システム』の魅力を改めて見つめ直します。

 

 

  • プログラム

13:00~ 受付

【第1部】

13:30~13:40
ごあいさつ:兼西 茂(徳島剣山世界農業遺産推進協議会会長、つるぎ町長)

13:40~13:50 趣旨説明

13:50~14:10 基調講演①
「にし阿波の地形と農業利用について」
山本 博(農研機構 フェロー)

14:10~14:30 基調講演②
「傾斜地農業の軽労化のための技術開発」
中元 陽一(農研機構 西日本農業研究センター 上級研究員)

14:30~14:50 基調講演③
「傾斜地農耕システムの土壌管理技術:農業遺産として継承する意義」
泉 直亮(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 特任研究員/つるぎ町地域おこし協力隊)

14:50~15:00 休憩

【第2部】
15:00~16:00 パネルトーク
「傾斜地の土壌を活かす~伝統的な技術と可能性~」
コーディネーター:泉 直亮(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 特任研究員/つるぎ町地域おこし協力隊)
パネリスト:講演者全員、篠原 尚志(つるぎ町役場 商工観光課 課長)、古城 幸男(剪宇集落 代表)

【主催】徳島剣山世界農業遺産推進協議会